本部流とは

本部流（もとぶりゅう）とは、旧琉球王族であった本部家に伝わる流儀を意味しますが、現在、本部流は2つの空手流儀から成り立っています。

一つは、本部朝勇先生が継承された本部御殿伝来の空手流儀で、正式名称を本部御殿手（もとぶうどぅんでぃー）と称します。本部朝勇先生は、本部御殿の第11代当主にあたります。本部御殿手は、突きや蹴りといった打撃技法に加え、取手（関節技・投げ技）や武器術などを包含する総合武術です。

打撃技法も現代空手とは異なり、夫婦手の構えなど、後述の本部拳法と共通する要素を持ちますが、握拳より貫手を多用するなど、古流空手の特徴を色濃く残しています。また、取手には空手だけでなく、琉球舞踊との共通性も多く見られます。

もう一つは、本部朝基先生が戦前に興した空手流儀で、正式名称を日本傳流兵法本部拳法（にほんでんりゅうへいほうもとぶけんぽう）と称します。朝基先生は朝勇先生の実弟（三男）にあたります。本部拳法は競技化された現代空手とは大きく異なり、古伝空手や古流空手と呼ばれる、古い時代の空手の特徴を色濃く伝えています。空手がまだ唐手（からて）や手（ティー）と呼ばれていた時代、琉球王国末期から明治初頭にかけての姿を今日まで受け継いでいます。

平成15（2003）年に、本部朝正宗家が本部拳法に加え、本部御殿手の宗家も兼任することとなり、それ以来、本部流は両流儀の総称として用いられています。

両流儀は、朝勇先生と朝基先生が兄弟であるため共通点も多くありますが、体捌き、受け技の有無、間合いなどには違いも見られます。現在、本部流では、それぞれの流儀をできるだけ忠実に継承するよう努めています。両流儀の詳しい特徴については各ページをご参照ください。以下に、両流儀の概要を示します。